読書感想文の書き方を宮沢賢治「土神と狐」でわかりやすく解説するよ

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 宿題対策

夏休みの作文課題の中では、多くの生徒たちが読書感想文で頭を抱えます。そんな悩みを解決するヒントとして、宮沢賢治「土神ときつね」を題材として、読書感想文作成のコツを具体的に解説します。

「土神ときつね」は青空文庫で読めますので、興味のある方は是非読んでみてください。

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あらすじ作成から解釈へ

感想文の題材となる文章を読み終えたら、まずはあらすじを作ります。「あらすじ」といっても、長々と何百字も書かないでくださいね。「あらすじだけで原稿用紙3枚!!」という生徒がいますが、勘弁してください(笑)。そんなくだらないことをしなくとも、僕と同じ方法で書いていけば、原稿用紙は自然と埋まりますよ。

あらすじを簡潔にまとめる

「土神ときつね」のあらすじは以下の通りです。

土神が、樺の木と仲良くしている狐に嫉妬し、狐を殺してしまう話。

話の骨組みだけなら、たったこれだけです。このレベルのあらすじで十分です。

「土神ときつね」の中には、星に関する会話などが挿入されています。表現を楽しむのなら注目してほしいですが、読書感想文を書く上では不要な描写です。こういう部分は、理解できなくとも無視しましょう。

ストーリーを解釈する

次に、ストーリーの中で、一読後「ん?」と疑問に思う描写に着目します。「土神ときつね」ならば、最後の場面がやはり気になります。

土神はさっきからあいていた口をそのまままるで途方もない声で泣き出しました。

その泪は雨のように狐に降り狐はいよいよ首をぐんにゃりとしてうすら笑ったようになって死んで居たのです。

「土神ときつね」を一読後、次の2つの疑問が生じませんか?

  • 土神はどうして泣いたのか?
  • 狐はどうして笑ったのか?

これらの疑問を考えてみましょう。自分なりの解答が思いつかなければ、「土神ときつね」でネット検索します。

疑問を解決するためにネット検索

宮沢賢治の作品は有名なので、さまざまな解釈がヒットします。検索すれば情報を得られることも、古典的名作を題材にするメリットです。

もちろん、他人の解釈のコピペや丸パクリはダメですよ。しかし、それらの解釈を参考にして、自分なりの論理を組み立てるのは問題ありません。

狐はどうして笑ったのか?

狐が笑ったシーンの解釈について、wikipediaには次のように書いてあります。

狐の笑みは、土神に対する嘲笑というよりは、殺害者によって業苦から放たれたという皮肉に向けられたものと考えられる。

こんな解釈を子どもができるはずありません。というわけで、狐が笑った理由は無視しましょう。

土神はどうして泣いたのか?

土神が泣いたシーンについては子どもでも解釈できそうです。

ここで注意すべきは、あくまでも読書感想文ですから、本文に沿って解釈するということです。本文の描写を踏まえて土神の心情の変化を読み取ります。土神の心情の変化を箇条書きにしてみます。

自分より格下だと思っている狐が樺の木と楽しそうに話していることに嫉妬する。

→狐の意地を張ったような態度に激怒する。

→怒りにまかせて狐を殺した後、狐の真の姿を知る。

→狐もまた、自分と同じように哀れな存在だったことに気付く(wikipediaの解釈を参照)。

→後悔の気持ちから泣いた(ここが自分なりの解釈)。

ここまで解釈したあと、さらに「土神はどうして後悔したのかな?」と考えます。

  • あれだけ輝いて見えた狐が実は自分と同じ存在だったことを知って、自分のことが更にみじめに思われたから。
  • 本当は狐とも仲良くなれるはずだったのに、その狐を殺してしまい、仲良くなれるチャンスを永遠に失ってしまったから。
  • 土神が狐を殺したことを知った樺の木は、今まで以上に土神を恐れるようになるはず。樺の木を恋い慕うが故の行動が、かえって樺の木を遠ざける結果になったから。

いろいろ考えを巡らせたら、あとは自分自身の体験談をこれらに重ね合わせます。

あらすじではなく体験談で字数稼ぎ

多くの生徒たちは、「読書感想文とは、本の内容について書くものだ」と思い込んでいます。しかし、その思い込みは間違いです。

読書感想文は現代文の読解問題ではありません。あらすじをたくさん書いても無意味です。あらすじからはオリジナリティが生まれないからです

だからこそ、本の内容から離れて、自分の体験談で字数稼ぎをすべきなんですね。

「本の内容にピッタリな体験談はありません」という生徒は、事実に手を加えるか、体験談を創作しましょう。創作に抵抗のある生徒もいるでしょうが、ばれなければ問題ありません。というか、普通はばれません(笑)

さすがに、イジメられていないのにイジメられたとか、まだ生きている親や親友を死んだことにするとか、そういう不謹慎なウソはダメですよ。しかし、友達とケンカしたとか、趣味から出会いが生まれたとか、あり得そうな体験談を作るのはOKです。

論文やレポートでは、事実の歪曲や創作はNGです。しかし、読書感想文には、科学的な厳密性は求められません。ネット上の文章を丸パクリするよりはるかにマシです。

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今回は、小学4年のときの親友Aくんと転校生のBくん、そして「私」の3人の人間関係を創作しますね(笑)

体験談をもとに、「当時の自分を反省しているからこそ、これからは土神にならないようにしたい」ということを書けば結構な字数になるはずです。

小学生の読書感想文は、1200字以内(原稿用紙3枚以内)ですから、体験談まで書ければ十分です。

一方、中学生以上だと、2000字以内(原稿用紙5枚以内)の字数を求められます。この場合、自分の体験談から一般論に話を広げます。

「土神ときつね」で考えるならば、イジメ問題などの社会問題に言及しつつ、羨望や嫉妬から生じる足の引っ張り合いを批判するのがいいでしょう。

下書きの段階で文章構成を考える

下書きの段階で「何をどのくらい書くか?」という目安を決めることが大切です。下書きの紙に、「●●の内容に原稿用紙▲▲枚分」とメモしておくといいでしょう。

これをせずにいきなり原稿用紙に書き始めると、字数不足や字数超過に陥ります。挙句、まとまりのないゴミ文章にもなってしまいますよ。

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というわけで、400字詰め原稿用紙5枚分なら、次の文章構成をオススメします。

  1. 本文解釈…1枚半~2枚
  2. 自分の体験談…2枚~3枚
  3. 一般論と結論…半分(200字)~1枚

この構成に従って、みみずくも読書感想文を書いてみました。次のページに読書感想文があります。参考にしていただければ幸いです。

本記事の読書感想文の著作権はみみずくにあります。パクリはやめましょう。パクるとバレますよ(笑)

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=白鳥片栗粉

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