推薦入試の作文は暗記科目!文章力の無い高校受験生のための事前対策

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 入試対策

多くの高校推薦入試では作文が出題されます。

作文の字数は400字から800字程度。一般入試対策として200字程度の作文を練習している受験生でも、「こんなに長い作文は書けません!」と文句を言い始めます。「作文なんて見るのもイヤ!!」という作文アレルギーの受験生なら失神します(笑)。

そんな彼らのために、僕が行なう事前対策のノウハウをお伝えします。

作文をブラッシュアップする

思いついたことをダラダラ書き連ねると、何が言いたいのか分からない随筆になります。最近は、高校入試の作文ですら小論文や意見文を求められます。そうした傾向を無視して随筆を書いてはいけません。

作文は構成を決めてから書く

作文を書く際は、構成を決めてから書き始めましょう。結論・主張の段落と体験談・根拠の段落とをはっきり分けて、”結論・主張→体験談・根拠→結論・主張”の順番で文章全体を構成します。この順番には意味があります。詳細は後ほど。

作文を何度も添削してもらう

推薦入試受験生は、過去問などを踏まえて、実際に作文を書くはずです。書き終わった作文は、必ず誰かに添削してもらいましょう。添削は、信頼のおける国語指導者にお願いするのが一番です。

添削後の赤字まみれの作文を、受験生はもう一度書き直して再提出しましょう。指導者からOKが出るまで、添削→書き直し→添削→書き直し→……を繰り返します。練習で書いた作文を徹底的にブラッシュアップします。

こうして、最初の作文とは比べ物にならないくらい素晴らしい作文が受験生の手元に残るはずです。

「思いやり」がテーマの作文例

僕が書いた作文を例として公開します。問題は次の通りです。

【問題1】「思いやり」というテーマで、あなたの意見を600字以内で述べなさい。

【解答例】

「思いやり」とは、誰に対しても偏見を持たずに接することだと思います。

毎朝、通学路の途中に、一人の男の子が立っています。彼は、同じ中学の特別支援学級に通っている生徒です。私はいつも彼の横を通り過ぎながら、「あまり関わりたくないな」と内心思っていました。「特別支援学級」という言葉に、近寄りがたいイメージがありました。私は障がい者が怖かったのです。

ある日、私は、いつものように男の子の横を通り過ぎようとしました。突然、彼は私に駆け寄って来て私の手を握りました。混乱した私は、「一緒に学校へ行こう」と彼に言いました。彼は、黙って私と一緒に歩き始めました。私たち二人に会話はありません。ただ、彼は私の手をしっかり握り、ニコニコと嬉しそうでした。学校の昇降口で「ここでお別れだね」と私が言うと、彼は私の手を離して校内に入って行きました。

彼と一緒に学校まで歩いたのはこの日だけです。しかし、この日以来、特別支援学級に対する私の思いは変化しました。男の子の手の温かさや笑顔を通して、障がいのある人も特別な存在ではないということに私は気付いたのです。彼のおかげで、「障がい者は怖い」という私の偏見はすっかり無くなりました。

私たちは、自分と違う境遇の人たちに出会うと、さまざまな偏見を抱いてしまいます。「思いやり」とは、そうした偏見を捨てて、誰に対しても平等に接することだと私は思います。

ありきたりな作文ですが、僕の実体験です(笑)

さて、この完成稿をどう有効活用するのでしょうか?

作文の具体例や体験談をどう書くか?高校入試国語の作文攻略法
作文で難しいのは具体例や体験談の書き方です。具体例は何を書けばいいの?「具体的に」ってそもそもどういうこと?生徒たちの素朴な疑問に答えます。

作文も暗記科目と考える

受験生の多くは、推薦入試の試験会場で、0から作文を書き始めます。たった50分しかない試験時間を数十分も費やしてネタ探し。時間が無くなって、文章がグッチャグチャ!!

作文アレルギーの受験生に至っては、原稿用紙の字数を埋めることすらできずに撃沈。せっかく与えられた推薦入試のチャンスをドブに捨ててしまいます。

こうした悲劇を防ぐにはどうすればいいのでしょうか?

作文をその場で書くのは無理

文章力や論理的思考力の無い中学生の多くは、その場でまともな作文を書けません。たとえ、事前に作文を書く練習をしていたとしても、です。そうした中学生たちに、「試験会場で0から作文を書くな!」と僕は言います。

作文を書けない受験生たちは、一度書いた作文を本番で再現する方法でしか生き残れません。つまり、作文を暗記科目と考えるわけです。

暗記すべき作文は、事前の添削指導で徹底的にブラッシュアップした完成稿です。受験生は、この完成稿を試験本番で思い出して、原稿用紙に書けばいいんですね。

テーマに合わせて書き換える

暗記した作文と同じテーマが試験本番で出題されれば万々歳。しかし、多くの場合、予想外のテーマが出題されます。受験生は、こうした事態にどう対応すべきか?

ここで有効なのが、テーマに合わせて結論・主張を書き換える、というテクニックです。

僕は、「作文では、“結論・主張→体験談・根拠→結論・主張”という構成にしましょう」と冒頭で述べました。この構成のうち、最初と最後の結論・主張を書き換えるのです。

【解答例】で考えてみますね。【解答例】では、最初の段落と最後の段落が結論・主張です。この2つの段落をテーマに合わせて書き換えますよ。

【問題2】人と人との関わりにおいて大切だと思うことを600字以内で述べなさい。

【問題2に合わせた書き換え例】

人と人との関わりにおいて、誰に対しても偏見を持たずに接することが大切です。

……(中略)……

私たちは、自分と違う境遇の人たちに出会うと、さまざまな偏見を抱いてしまいます。そうした偏見を捨てて、誰に対しても平等に接していきたいと思います。

太字の部分が書き換えです。体験談などの部分は一切変えなくてOK。簡単ですね!

「テーマが似通っているから簡単に書き換えられたんだろ?」と言われそうですね。では、別のテーマでも書き換えてみましょう。

【問題3】「私の好きな場所」というテーマで、あなたの考えるところを600字以内で述べなさい。

【問題3に合わせた書き換え例】

私の好きな場所は通学路です。そこでの出来事が私を変えてくれたからです。

……(中略)……

彼との出会いを通して、私は自らの偏見を改められました。そのきっかけとなった通学路が私は大好きです。

【問題4】高校で学びたいことについて、あなたの意見を600字以内で述べなさい。

【問題4に合わせた書き換え例】

高校では、勉強以外の大切なことも学びたいと思います。

……(中略)……

この体験のように、人との出会いを通して、私は自分を変えていきたいと思っています。高校ではどんな人と出会えるのか、今からとても楽しみです。

こんな感じで、一度書いた作文をあらゆるテーマで使い回すことが大切です。

作文を3パターンで用意する

もっとも、使い回し用の作文が1つだけだと、あらゆるテーマで使い回すのは厳しいと思います。推薦入試受験生の皆さんは、次の3パターンの作文を用意しておくといいでしょう。

  • 勉強(科目)に関する作文
  • 部活や課外活動に関する作文
  • 人間関係に関する作文

3パターンを一通り揃えておいて、「こっちのテーマなら勉強!あっちのテーマなら部活!」と書き分けます。これで、ほとんどのテーマを網羅できるはずです。

繰り返しますが、作文が苦手な受験生は、試験会場で0から作文を書いてはいけません。高校の推薦入試程度であれば、しっかり事前対策をすれば作文も攻略できます!!

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コメント

  1. 松井ふみえ より:

    こんにちは。とても参考になりますね。昨年、知っていればもっと良かった思いました。そこで質問があります。
    同僚のお子さんが今年、高校受験生で都推薦に向けてナーバスになっているとの事。
    昨年、我が子が都推薦で合格したので、作文はどうしたのか尋ねられました。
    私が5つぐらい題材を過去問からピックアップし、5つ作文を子どもに書かせて、私が添削(大笑)しました。それをまた書き直しさせ、暗記させたと伝えました。
    無論、5つの作文をまるまる暗記出来たわけではありませんが、我が子の高校の過去問は毎年、似たり寄ったりの題材でしたのである程度、文章レベルの暗記でつぶしが利いたと思います。ですが納得していないようで、よくよく聞いてみると、毎年題材が”格言”なんだそうです。そして時には英語の格言だったりしてるそうです。
    どんな格言なのか私にはよく分かりませんが、みみずく先生ならご存知と思いました。そして対策をお持ちかと思いましたので、出来ればご回答頂きたいです。よろしくお願いします。

    • みみずく みみずく より:

      コメントありがとうございます。
      僕は、自分の生徒が受験する学校の情報しか収集しません。そのため、格言が出題される学校がどこなのか、またその対策をどうすべきか、は残念ながら分かりません。
      都立高校の推薦入試問題については、東京都教育委員会が毎年テーマを一覧にして公開しています。以下のURLからご覧ください。
      http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/25suisen_theme.htm
      もし、格言を出題する推薦入試の対策を依頼された場合、僕は以下の2点を生徒にやらせます。
      ・代表的な格言の意味を暗記させる(いわゆる国語のお勉強)
      ・どんな格言でも使えそうな体験談をいくつか書かせて、それらを暗記させる。
      要は、記事で書いたことと同じような指導です。どんな格言が出題されるのか分からない以上、あとは運任せになりますね。
      有益な回答でなくて申し訳ありません。

  2. 松井ふみえ より:

    みみずく先生

    早速のご返答ありがとうございます。
    お礼の返信が遅くなりまして申し訳ありませんでした。
    いえいえ、とても親身にご回答を頂き、感謝しております。
    しかも無料で申し訳ありません。
    すぐに同僚にメールしてみます。

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