ベルギー奇想の系譜展 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

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ベルギー奇想の系譜展 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

2017年9月24日(日)まで、Bunkamura ザ・ミュージアムにて『ベルギー奇想の系譜展 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで』が開催されます。

ベルギーとその周辺地域では、15・16世紀の画家ヒエロニムス・ボスに始まる幻想芸術の流れが脈々と受け継がれてきました。本展は、歴史に名を残す代表的作家の作品を時系列的に展示し、フランドル絵画から象徴派・表現主義、シュルレアリスム、現代アートまで、約500年にわたる「奇想」の系譜をたどります。

本展のプレス内覧会を取材したレポートがエンタメ特化型情報メディア「スパイス」にて公開中です。展示風景の写真もありますので、ぜひご覧になってください。

『ベルギー奇想の系譜展』が開幕 ボス、マグリット、ヤン・ファーブルなど、奇想のアーティストが大集結!

ヒエロニムス・ボスが描いた「奇想」の世界観

全3章に分かれている本展は、「奇想」のルーツであるヒエロニムス・ボスと彼の影響を受けたボス派の作家の紹介から始まります。

ヒエロニムス・ボスは、15世紀から16世紀にかけて活躍しました。代表作である三連祭壇画《快楽の園》を始め、それまでの宗教画とは一線を画する作風でキリスト教の世界を描いて人気を博しました。ボスの没後も、ボスを模倣する作家が後を絶たず、16世紀半ばには「ボス・リバイバル」が起こります。

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第1章の見どころは、メインビジュアルに採用されているヒエロニムス・ボス工房《トゥヌグダルスの幻視》です。巨大な人間の頭部、燃え盛る地獄の業火、鼻のラッパを吹き鳴らす怪物……。ユニークなモチーフの数々は、観る者の目をくぎ付けにします。

ボスの後継者たちの作品にも「奇想」が溢れています。「第二のボス」と呼ばれたピーテル・ブリューゲル(父)は、「七つの大罪」シリーズや「七つの徳目」シリーズなど、数多くの版画の下絵を手がけました。《大きな魚は小さな魚を食う》の空飛ぶ魚や《聖アントニウスの誘惑》の巨大な頭部などはボスのモチーフに倣っています。版画ならではの緻密な描き込みが秀逸です。他にも、ヤン・マンデインやピーテル・ハイスといったボス派の作家の作品も鑑賞できます。

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ボス派が興隆した当時、ヨーロッパではルネサンスと宗教改革が起こり、神中心の世界が人間中心の世界へ変わろうとしていました。「奇想」の作品群からは、歴史の転換期を生きた人々の希望と狂気が感じられます。

象徴派・表現主義からシュルレアリスムへ

第2章は、フェリシアン・ロップスやフェルナン・クノップフ、ジャン・デルヴィル、ジェームズ・アンソールなど、19・20世紀のベルギー象徴派・表現主義に焦点を当てる章です。ユーモラスなモチーフが躍るボス派の作品群とは対照的に、象徴派・表現主義の作品群は暗鬱です。骸骨や仮面が「死」を連想させるからです。「死」は、権威に対する痛烈な風刺であり、産業革命がもたらした人間疎外への抵抗であり、安らぎを求める魂が帰着する「ユートピア」でもありました。

「死」を匂わせる「奇想」に対して、20世紀のシュルレアリスムにおける「奇想」は思考を促します。ポール・デルヴォー《海は近い》には、歴史的なモチーフと現代的なモチーフが混在する幻想世界が広がっています。そこに登場する裸婦たちは官能的で、観る者を思考の迷宮へと誘います。

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思考の迷宮の最深奥で待ち構えているのはルネ・マグリットです。《虚ろな目》《レディ・メイドの花束》《大家族》など、マグリットの作品は、さまざまなモチーフや言葉の意外な組み合わせから生まれました。だまし絵のような視覚的イメージの背後にはマグリット独自の哲学があり、それに共鳴する魂は「日常」「常識」の束縛から解放されます。

シュルレアリストたちの作品群は、2つの世界大戦を経験した世界を象徴しています。絶対的な「正しさ」が否定され、さまざまな価値観が台頭する時代において、シュルレアリストたちは考え続けたのでしょう。第3章前半は、彼らの思考を追体験する場でもあります。

「奇想」がリアルに表現される現代アート

第3章の後半では、ベルギーの現代アートが紹介されます。

約500年にわたって受け継がれてきた「奇想」が絵画の世界を飛び出し、彫刻や映像、インスタレーションなどでリアルに表現されます。伝統的なモチーフは、新たな表現技法のもとで新たな解釈を与えられます。ウィム・デルヴォア《プレッツェル》では、キリストの磔刑図がメビウスの輪のようなオブジェになり、レオ・コーベンス《ティンパニー》では、逆さ吊りにされた骸骨の頭がティンパニーをひたすら叩き続けます。ヤン・ファーブルもまた、ボス派などの作品を踏襲しつつ、オリジナルの世界観を築いてきたアーティストです。ファーブルが制作した《フランダースの戦士(絶望の戦士)》は、本展の入り口で来場者を出迎えてくれます。

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一方で、「思考」「対話」などに偏った社会の在り方を風刺する作品も紹介されます。トマス・ルルイ《生き残るには脳が足らない》は、考え過ぎて頭でっかちになりがちな現代人に対するアイロニーのようです。また、マルセル・ブロータールス《猫へのインタビュー》は、言語を介して成り立つコミュニケーションの限界を示しているのでしょうか。「奇想」は、現代社会に潜む矛盾を鋭く暴き出す役割も担います。

「奇想」の系譜をたどる旅は、自分自身や自分を取りまく世界について深く考えるきっかけになります。本展を鑑賞した後、目の前の風景が今までと違って見えるかもしれません。

『ベルギー奇想の系譜展』が開幕 ボス、マグリット、ヤン・ファーブルなど、奇想のアーティストが大集結!

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