武本貴志『中学受験の国語論』で受験国語の本質と方法論を学ぶ!

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みみずく戦略室

『中学受験の国語論』は、国語で悩んでいる中学受験生の保護者におすすめの一冊です。

著者の武本貴志さんは、東京都文京区にある国語塾「和ゼミナール」代表。師である若尾直人さんから受け継いだノウハウを駆使して、長年、中学受験生に国語を教えてきました。

『中学受験の国語論』には、武本さんが考える受験国語の本質や方法論がギュッと凝縮されています。

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受験国語で求められる「精密力」

武本さんは、「はじめに」の中で、次のように述べています。

文章読解問題には解き方があります。そして設問を解くにはさまざまな約束事があって、これを守らなければ正解にはなりません。文章読解問題の勉強とは、この解き方や約束事を習い、訓練することなのです。

(中略)

問題を解く練習を積むことで国語の学力が上がるということは、むずかしい文章を読む力をやしなうことで、それは将来的にもきっと役に立つことになるのです。

ここでいう「解き方や約束事」は、学校教育で目標とされる国語力とは別物です。

『中学受験の国語論』では、小学校で指導される国語力は「読み書き力」と「文学力」である、といいます。特に、高学年で指導の中心となる「文学力」は、「豊かな個性、自由な発想、細かな情緒、精神的成長……が必要となる文化・芸術の国語力、または日本を使った芸術能力」と定義します。この「文学力」は、国語以外の能力や個人の才能に左右され、客観的に測定できません。

一方、受験国語で求められる能力は「精密力」です。「精密力」とは、「文章を正確・精密に読み書きする能力、または日本語を使った情報処理能力」で、「『正しい』『誤り』がはっきりと決まる実用の国語力、利害損得の国語力」と定義されています。

この「精密力」は法律家などに最も求められる能力です。日常生活においても、契約書や取扱説明書を理解する上で必要です。

学校教育と受験国語との乖離に関する武本さんの議論を読みながら、僕は、「精密力」というワードに心惹かれました。

課題文を理解するために設問を解く

武本さんは、受験国語について鋭く分析します。

本来の精密力とは「大学の講義と専門書を理解し、論文を書く能力」、もっとはっきりいうなら「高度な学問を習得するために難解な専門書を一字一句手さぐりで読み進め、なんとか少しずつ理解していく国語力と忍耐力」です。

精密力を試すために難解な文章から入試問題を作り、受検者の反応を試している――このように考える武本さんは、「テストのときに課題文を理解してから設問を解く」方法ではなく、「課題文を理解するために設問を解く」方法を勧めます。(中学入試の国語も、大学入試の国語と同じものという前提です)

武本さんの発想は、僕の国語指導方針と完全に一致します。僕も、生徒たちにはいつも次のように言っています。

本文を理解してから問題を解くのではなく、問題を解きながら本文を理解していきなさい。

僕の国語指導を初めて受ける生徒は、これまで受けてきた国語の授業とは方向性が全く違うので、かなり衝撃を受けるみたいです。「和ゼミナール」で初めて授業を受けた生徒たちも、同じような衝撃を受けているのでしょうか?

『中学受験の国語論』の3つの約束事

武本さんは、『中学受験の国語論』で3つの約束事を挙げています。

1. テストと筆者・原典は関係ない。

2. 課題文が同じでも設問が異なればまったく別のテストである。

3. 課題文に書かれていないことはウソとみなす。

これらの約束事をふまえて、「設問の正解が筆者の著作意図や原典解釈の定説・通説と一致している必要はない」「課題文の出題予測が的中しても、あまり受験対策になりません」「たとえ知っている文章に出会っても、はじめて読む文章に向き合う緊張感を失ってはなりません」などと述べています。

どこを読んでも「その通り!」と納得させられる記述ばかりで、本当に驚きでした。一読後、僕は、心の通じ合った親友と再会したときのような感動を覚え、しばし呆然としてしまいました。

この感動は、「うちの子どもは国語ができない」と悩んでいる保護者にこそ、味わってほしいものです。

僕としては、商圏がかぶる同業者さんを紹介するのは控えたいところですが、情報提供の一環として『中学受験の国語論』を紹介しました。

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=河村友歌 渡辺友美子

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